(引用開始)「あなたのかみさまってどんな神さまですか。」青年は笑ひながら云いました。
「ぼくはほんたうはよく知りません、けれどもそんなんでなしにほんたうのたった一人の神さまです。」
「ほんたうの神さまはもちろんたった一人です。」
「ああ、そんなんでなしにたったひとりのほんたうのほんたうの神さまです。」
「だからさうぢゃありませんか。わたくしはあなた方がいまにそのほんたうの神さまの前にわたくしたちとお会ひになることを祈ります。」青年はつつましく両手を組みました。
女の子もちょうどその通りにしました。
みんなほんたうに別れが惜しそうでその顔色も少し青ざめて見えました。
ジョバンニはあぶなく声をあげて泣き出さうとしました。(引用終了)
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